k​.​TAMAYAN - 1​ミ​リ​の​タ​バ​コ

from つ​く​ポ​エ vol​.​1 by つくばポエムコア同好会

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lyrics

あなたがそんなに完璧じゃなかったなら、私がこんな思いをすることもなかったのに、と思う。
背が高くて、顔がきれいで、気がきいていて、仕事ができて、手先が器用で、愛想が良くて、あげ始めたらきりがない。
それでも、そんなあなたを好きになってしまったことを罪深く思うほど、私はまだ病んでいない。
あなたにはあなたの暮らしがあるし、私には私の暮らしがある。
だから、お互い好きにして、その結果どうなってもいいと思う。
開き直り過ぎだろうか。
私がもし、世界の最果てで死にかけていたら、あなたは私を愛してくれるだろうか。
ただ、同情するだけかもしれない。
それでも良いと、私は思う。
だってあなたが私をどう思おうが、それは自由だから。
そこに口出しする権利は、私にはない。
そう言えばこの前、駅前でホームレスを見かけたよ。
酔っ払ったサラリーマンがタバコを差し出して、それをうまそうに吸っていた。
私はそれを見て、タバコを吸ってみたいと思った。
1ミリのメンソールを買って、私はとりあえずタバコを吸ったという事実を作った。
でも、ヘビースモーカーの人からしたら、1ミリなんて空気みたいなものなんだろう。
嗜好品と呼ばれるものが私は好きなのかもしれない。
コーヒーだって、毎日飲むけど、尿になって消えていくだけだ。
それでもいいのだ。
人生なんて嗜好品のようなものだ。
みんなタバコの煙のように、何処かへ消えていく。
駅前のホームレスも、完璧なあなたも、そういう意味では同じものなのだ。
ああ、あなたには唯一欠点があった。
あなたは誰も愛さない。
愛しているような素振りはするかもしれない。
でも、本質的に人を愛することを、あなたはきっと知らない。
なぜ私がそんなことを知っているのかって?
それは、ちょっとした感のようなものだ。
確証はない。
でも、そんな気がして仕方がないのだ。
あなたを見ていると。
今日は星が綺麗に見える。
そんなことを思いながら、何でもない一日を私は終える。
今日と明日が同じ一日でありますように。
今日と明日が違う一日でありますように。
どちらも本当の気持ちだ。
私には何もないとか、そんなことは思わない。
かと言って、これだというものがあるわけでもない。
そんな私。
なんだか私のことばかり喋ってしまった。
話は変わるけど、私は宗教が嫌いだ。
天国とか来世に救いを求める宗教は特に。
それは結局、現状に満足できない人々を無理やり納得させているだけにすぎない。
そういうのは嫌い。
あなたはそんな宗教と無縁でいられるくらいに完璧だから、こんなのはどうでもいい話かもしれない。
そう、どうでもいい。
それにしても今日は本当に星が綺麗だ。
私の心も、あれくらい綺麗になればいいのに。
でも、それは土台無理な話だろう。
私は今日も、薄汚れた心で1ミリのタバコを吸う。

credits

from つ​く​ポ​エ vol​.​1, released January 18, 2017
music&lyrics:k.TAMAYAN

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