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lyrics

さよなら、さよなら、さよなら。

そう言って僕は屋上から飛び降りた。
さよなら、さよなら。

車窓、浮遊感、フラッシュバック、断絶。

光、混乱、全身の痛み。
だめだったんだ。
自分がまだ生きていることに気がついた。
最初に考えたのは「よかったな」ってことだった。

自分でもこんなことを思うのは驚きだ。
頭がぐるぐるして考えがまとまらない。

どのくらいの時間が経ったのだろう。
まったくわからなかった。
これまでのこと、これからのことを考えていた。

突然、病室の扉がすっと開いて、黄色い雪だるまほどのキャラクターが現れた。
僕のことをじっと見つめると、矢継ぎ早に話しかけてきた。

「失敗したんだね。君はこれからどうするんだい?」
「わからない。でも、もう死にたいと思うのはやめることにするよ」
「じゃあ、新しいことを始めなよ」
「新しいこと? 好きだったことはいくつかあるけれど」
「ポエムコアをやるんだ」
「ポエムコア……」

ポエムコアとは、ダークなミュージックをBGMにポエムの朗読を行う、近年世界的に流行しているパフォーマンスのスタイルだ。

「君は、ポエムコアをやるんだ。ポエムコアを通して、断絶してしまった自分自身を繋いでいくんだ」

一度断絶してしまった自分をつなげることは難しい。
意識の連続とは、それほどにもろいものなのだ。

「ポエムコア……」
「君はもう大丈夫だね。僕はもう他の人のところへ行かなくちゃ」
「待って!」

そのキャラクターは病室の外へと駆け出した。
そこで僕の意識はまた途切れた。

気づくと僕は同じ病室にいた。
なんだか色々と話しかけられていたが、ほとんどの内容は覚えていない。
もう動いてもいいらしいということだけはわかった
全身に痛みが走るが、身体は動く。

自分という存在を繋げていくのは難しい。
でも、今はその道具を持っている。
自分を突き動かす何かがあった。
ここにいてはいけない。

心が走り出した。

病院から走り出し、息も切れ切れに、誰もいない部屋に戻ってきた。
取り出したのは一冊のノート。
ありったけの感情を吐き出す。
ポエムコアを続けるんだ。

物語はまだ終わらない。

ただいま。

credits

from つ​く​ポ​エ vol​.​1, released January 18, 2017
music&lyrics:POOL
mixing:k.TAMAYAN

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