k​.​TAMAYAN&​の​の​は​な​さ​と​詩 - 花​、​花​々​、​バ​ナ​ナ

from つ​く​ポ​エ vol​.​1 by つくばポエムコア同好会

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lyrics

花々しいバナナの冠を被ったブタは分度器とリコーダーを携えて行進してくる刺々しい腰つきの女たちを一人二人と交わしながら、鹿嶋市の師走の習わしである忙しい忙しい踊りをたったの一匹で踊った。
いつものことながら、一ミリの予断をも許さない状況である。
このおかげで彼のブタは見る影もないほどやせ細っていた。
余った皮がたるみ、ルランルランと揺れている。
それを草原の影から見守っているのは一人の少年。
実はこの少年、かれこれ二時間もずっとこの状態で動いていない。
ただじっと、黄色い冠を被ったブタと、純白のワンピースを身に着けた幾人もの女たちが入り乱れるのを見守っているのである。
ゆくゆくは彼もこの騒ぎに参戦することになるのだが、それはまだずっと先の話である。

話を元に戻すとしよう。
弓子はカップに注いだコーヒーを見つめていた。
その暗さと深さを確かめているように、周囲からは見えなくはないが、彼女の頭の中では別のことを考えていた。
考えているところに時々珈琲の匂いがゆらゆらと近づいてきて、彼女の思考に少なからぬ影響を与えた。

「それで宇宙か」

弓子は呟いた。

credits

from つ​く​ポ​エ vol​.​1, released January 18, 2017
music:k.TAMAYAN
lyrics:ののはなさと詩

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